ただ今回の改正は給与所得控除の改正も同時に行われます。
手放しで喜ぶわけにはいかなさそうです。
基礎控除の引き上げ
今回の記事は年収850万円以下の会社員の方向けに解説します。
(年収が850万円を超える会社員やフリーランスの方は計算が異なりますのでご注意ください)
さて、所得税における「基礎控除の引き上げ」が、令和2年1月1日から実施されています。(令和3年3月に提出する確定申告から適用されます)
この改正は、会社員にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
***
まず最初に、給与所得者(会社員やパートさんなど)の税金の計算方法を確認してみましょう。
計算式はざっくり以下のとおりです。
(わかりやすくするため基礎控除以外の所得控除はないものとします)
給与収入(年収)から給与所得控除(経費のようなもの)をマイナスし、さらに基礎控除(すべての国民に認められた控除)をマイナスして課税所得を求めます。
この課税所得に税率を掛けることで税額が決定するという流れです。
今回の改正では基礎控除が10万円引き上げられることになりました。
これまでは一律38万円だった基礎控除が、48万円にアップしたのです。
基礎控除が増えるということは、課税所得が減少します。
課税所得が減少するということは、税金の額も減少します。
…ということで、喜ばしいことのように一瞬思えます。
給与所得控除の引き下げ
ところが、今回の税制改正では給与所得控除も同時に改定されました。
給与所得控除の金額が一律10万円引き下げられたのです。
給与所得者の税額に与える影響
基礎控除が10万円アップしても、給与所得控除が10万円ダウンしたということは?
結局のところ、プラスマイナスゼロということです。
すなわち、課税所得には何も影響しません。
結果として税金の額にも何ら影響を与えません。
「何だそれ?」という感じですね。
今回の改正は、会社員やパートの方(年収850万円以下の人)にとっては関係のない話であることを理解しておきましょう。
補足
ここは余力のある方だけ読んでくださいねー! (^^♪
・基礎控除の所得制限について
次のとおり基礎控除に所得制限が設けられることになりました。
合計所得金額 | 基礎控除 |
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
・給与所得控除の上限額について
給与所得控除額には従来から上限額が設定されていますが、この金額が引き下げられました。
これまでは年収が1,000万円超の場合の上限額が220万円でしたが、今後は年収850万円超の場合の195万円となります。
・所得金額調整控除について
年収が850万円超の人のうち、次の要件のいずれかに該当する場合には「所得金額調整控除」が適用されます。給与所得控除額が減少することのないよう配慮されたものです。
①特別障害者に該当する人
②23歳未満の扶養親族がいる人
③特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる人
まとめ
・令和2年分の確定申告から基礎控除が10万円アップする
・令和2年分の確定申告から給与所得控除が10万円ダウンする
・年収850万円以下の給与所得者の税負担は変わらない
うまい話には裏がある、ということですか。
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