インボイス制度のポイント
前回の記事では、インボイス制度をマスターするためのポイント3つを紹介しました。
今回はそのうちの2つ目である「取引先からインボイスを受け取らないと仕入税額控除が受けられない」について詳しく確認します。
仕入税額控除についておさらい
消費税計算の基本は「預かった消費税」から「支払った消費税」を差し引くというものでした。
またこの際に「支払った消費税を差し引くこと」を専門用語で「仕入税額控除」と言います。
つまり節税になります。
「仕入税額控除」について詳しくはこちら↓
インボイスを受領しないと控除が受けられない
インボイス制度開始後は、取引先からインボイス(適格請求書等)を受け取らないと、仕入税額控除が受けられなくなってしまいます。
上で見たように仕入税額控除の金額は大きければ大きいほど節税につながり、小さければ小さいほど「納める消費税」が増えてしまいます。
ですから、自分自身の納税額を抑えるためにも、取引先(仕入先や経費の支払先)からインボイスを確実に受け取り、仕入税額控除の金額をなるべく大きく(最大化)していかなければなりません。
以下の対策を検討すべきです。
①取引先にインボイスを発行してもらうようお願いする(インボイス発行事業者になってもらう)
②消費税分の値下げをお願いする(ヒトミさんの納める消費税が増えた分だけ値引きしてもらう)
③残念ではあるが取引を中止してもらい、インボイスを発行してくれる他の事業者との取引に切り替える
※強引な値下げ要求や、一方的に取引中止を要請することは「独占禁止法」や「下請法」に違反する可能性があるため注意が必要です。
インボイスを受領しなくても問題ない人
以上で解説したように、インボイス制度スタート後はインボイスを受け取らないと仕入税額控除が受けられなくなります。
しかしながら、このようなことをまったく気にしなくていい人、影響を受けない人というのも一定数います。
それはどのような人たちなのでしょうか?
まずは消費税の免税事業者です。
こういった人たちはそもそも消費税の申告・納税を免除されているわけですから、消費税の計算自体をする必要がありません。
したがって仕入税額控除の計算をする必要もなく、インボイスを貰っても貰わなくても影響を受けることは何もありません。
次に消費税の課税事業者ではあるが、簡易課税制度で計算している人たちです。
簡易課税制度では仕入税額控除を自動計算で求めるのでしたね。
ですからインボイスを貰っても貰わなくても、計算に影響することは何もありません。
以上のことより
①消費税の免税事業者
②消費税の課税事業者だが簡易課税を選択している人
については、取引先からインボイスを貰えなくても特に問題ありません。
まとめ
- インボイス制度が始まると、インボイスの受領・保存が仕入税額控除の要件となる
- 取引先がインボイスを発行してくれない場合、自らの納める消費税が増えることとなる
- 免税事業者や簡易課税制度選択適用者はインボイスを受領しなくても問題ない
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