年金受給者向け

退職金と確定申告の要否|退職所得の受給に関する申告書

アクティブシニア 茂さん
アクティブシニア 茂さん
税理士さん、後輩が退職金を2,000万円も貰ったそうなんだ。
たいそう税金で持ってかれるんじゃないかって心配してたよ。
定年退職ですか?
おめでとうございます!ですね。
税理士
税理士
アクティブシニア 茂さん
アクティブシニア 茂さん
そういや退職金をもらったら確定申告しなきゃいけないんだっけ?
僕はしなかったような気がするんだけど。
もう何年も前のことだから忘れちゃったな。
退職金は確定申告しなくていいことがほとんどです。
税理士
税理士

 

退職金と確定申告

退職金として2,000万円もの収入があった茂さんの後輩。
長年勤務してきたご褒美ですから、税金など引かれず満額もらっておきたいところです。

しかし退職金も所得のひとつ。
残念ながら税金がかかります。

とはいえ退職金は長年の功労に報いる性質のものであり、かつ老後の生活を保障するものですよね。
そのような理由から税制面で非常に優遇されています。(少ない税金で済むよう配慮されています)

では退職金をもらったら確定申告しなければならないのでしょうか?

実は退職金は勤務先から支給される時点で正しく税金が引かれており、確定申告をする必要がありません。

ただし、勤務先に対して事前に書類を提出していることが前提です。
その書類とは「退職所得の受給に関する申告書」というものです。

退職所得の受給に関する申告書

出典元:国税庁ホームページ

「退職所得の受給に関する申告書」をあらかじめ勤務先に提出しておくことで、正しい税額が天引きされて支給されます。
会社がきちんと処理してくれるため支給時点ですべての精算が完了します。
あらためて確定申告などをする必要はありません。

一方で「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないと、一律20.42%の税率で税額が天引きされます。(正しい税額よりも多く天引きされてしまいます)

***

たとえば、30年間勤めた会社から2,000万円の退職金が支給される場合に、どれくらいの税額が差し引かれて支給されるかを見てみましょう。(所得税のみで計算)

退職所得の受給に関する申告書を提出している場合 → 天引きされる税額は15万円程度
退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合 → 天引きされる税額は400万円程度

いかがでしょうか?
紙切れを一枚提出しているかどうかの違いで、驚くほどの差ですね。

もちろん、400万円を天引きされた場合でも確定申告することによって本来の税額との差額(400万円-15万円=385万円)は還付により取り戻すことができます。
とはいえムダな税金を最初から納めないで済むのなら、それに越したことはありませんよね。

これから退職金を受け取る予定のある人は、勤務先としっかりコミュニケーションを取って「退職所得の受給に関する申告書」を忘れずに提出しておきましょう!

まとめ

・退職金は原則として確定申告が不要

・「退職所得の受給に関する申告書」を提出していることが条件

・「退職所得の受給に関する申告書」が未提出なら、確定申告して税金を取り戻そう!

アクティブシニア 茂さん
アクティブシニア 茂さん
退職金は税金が少なくて済むようにちゃんと配慮されてるんだね!
はい。老後の生活がかかっていますからね。
税理士
税理士
アクティブシニア 茂さん
アクティブシニア 茂さん
日本では老後に2,000万円を用意しないと豊かな生活が送れないという話だからねえ。
退職金は大切に使わないといけないな。

 

ABOUT ME
税理士 瀬口 徹
東京都府中市を中心に活動する税理士・宅地建物取引士。 個人の方の確定申告を応援します! 詳しくは → プロフィールへ
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